【入門編】役所調査とは?8つの調査項目をわかりやすく解説

1. 都市計画法

監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』 『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

監修者

宅地建物取引士
公取協認定不動産広告管理者

野村 道太郎(プロフィール)

「都市計画」という名前からしてかなり大きい感じがしますね。法律そのものが「都市」という大きさを単位としており「この辺は人が住みやすいように道路とか公園とか、いろいろと整備していこう」とか「こっちは自然も豊かだし人里から離れているからあまり手を入れないようにしよう」といったような、まちづくりの方向性をざっくりと決めていくというイメージの法律です。念のため、正式な条文も引用しておきます。

(目的)

第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 

-都市計画法(昭和四十三年法律第百号)令和4年12月16日施行-

ちなみに、今後紹介していく不動産関連の法律は、基本的にこの都市計画法を土台にしています。マニュアルの中でも最もボリュームが大きい建築基準法も、都市計画法とは親子関係にあり「都市計画法が親、建築基準法が子」と捉えても差し支えありません。大枠を都市計画法で定め、細やかな規定を建築基準法で補完しているような関係性です。

さて、都市計画法の調査にはいくつかのポイントがありますが、実務で優先度が高いのは「都市計画道路」についての理解です。

いきなり言われても全くイメージがつかめないと思いますので、例として「高速道路」や「片側3車線以上」などの大きな道路を思い浮かべてみてください。全てがそうではありませんが、整備される前と後で周辺の環境・交通量まで変わってしまうような大きな道路は、都市計画道路の代表的な事例です。そして、大きければ大きいほど、完成までには様々な手続き・工事があり大変な事業となります。その結果、都市計画道路の中には「いつかここには大きな道路を作ろう!」という計画が決まっているものの「未着手」または「着手しているが未完成」の道路が数多くあります。

用地収用が進行しているものの未完成の都市計画道路
[参考画像:用地収用が進行しているものの未完成の都市計画道路]

この完成していない道路が重要で、仮に事業が進んだ場合には周辺環境が大きく変化するリスクを抱えています。それを購入検討者に伝えなければなりません。購入検討者の気持ちになってみるとわかりやすいでしょう。

あなたは買おうか迷っている土地があります。見に行ったところ、周辺は落ち着いた住宅街で住み心地も良さそうです。その他の希望条件も満たしているので魅力的に感じています。しかし「もしかしたら目の前に大きな道路ができるかもしれない」という噂を耳にしました。どうでしょう、気になりませんか・・・?

  • かもしれない?できるの?できないの?
  • いつ頃なの?
  • 大きいってどのくらい?
  • 工事ってどのくらい続くのかな・・・

こうした情報は全て、購入するかどうかの判断に影響を及ぼす可能性があります。「目の前が幹線道路になるなんて知っていたら買わなかった!」と訴えられるようなことがあってはなりません。そのために、計画を管轄している役所で情報収集を行う必要があるのです。

さて、都市計画法については道路のほか、公園の整備や区域区分、市街地開発事業といったトピックはまだまだあるものの、詳細は実践編に持ち越しておきたいと思います。

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監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、不動産専門 広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

※実績等:初心者向けセミナー「よくわかる役所調査」受講者アンケート結果:満足度96.3%、全国3,000社が利用した「役所調査チェックシート」企画・制作、業務効率化ツール「スマホで役所調査メモ」企画・設計・監修 など

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