【入門編】役所調査とは?8つの調査項目をわかりやすく解説

8. 土壌・水質汚染

監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』 『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

監修者

宅地建物取引士
公取協認定不動産広告管理者

野村 道太郎(プロフィール)

「土壌・水質汚染」の項目では、有害物質を理由とした健康被害のリスクについて調べていきます。基本的には周辺一帯が過去から現在に至るまでに「どういった用途で使われてきたのか」が重要です。

「有害な化学物質を使う薬品工場があり、薬品の一部が土壌に染み込んでいる」というようなわかりやすい例もあれば、身近で意外な例をあげていくと、クリーニング屋さんの跡地が該当することもあります。洗剤の中には有害なものもあり、土壌汚染が認定される可能性があるためです。

調査方法としては、一定の化学薬品について利用履歴がある場所を役所側が台帳にまとめているので閲覧したり、場合によっては古地図から読み解くようなこともあります。

ちなみに、土壌汚染に関する法律の代表的なものに「土壌汚染対策法」があります。実は皆さんは既に1度目にしているはずで、「5. 都市計画法、建築基準法以外の法令」でお見せした表を見返していただくと54番に記載されています。

土壌汚染対策法の調査は、まず土壌汚染対策法によって汚染が認められる区域に指定されていないかを確認することになります。ただし、この区域というのは「土壌汚染調査を既に実施しており、汚染を確認できた」という場所を指しており、指定箇所はあまり多くはありません。恐らく、実際に土壌汚染対策法について重説で取り上げる機会も限られるのではないでしょうか。

ただ、東京都では土壌汚染対策法よりも細かい規定を設けた「環境確保条例」というものがあります。これにより市区町村は、土壌汚染のリスクがある工場や、特定の用途で使われる場所を一覧にした台帳を備え付けることになっています。土壌汚染の調査時には、土壌汚染対策法による指定区域だけでなく、この環境確保条例による台帳も確認し、敷地内や隣接地などに土壌汚染リスクがないかを調べるべきでしょう。

また、土壌汚染とは異なりますが、近しい話題として水質汚染についても、リスクのある施設を一覧にする台帳があり、土壌汚染と同じ窓口で閲覧できることも多いのでまとめて確認をするようにすると調査が進みやすいです。

まとめ

本マニュアルで解説する8つの調査項目についての概要は以上です。まずは重説や役所調査がなぜ必要なのか、どういった役割なのか、全体像がぼんやりとでも見えていれば幸いです。実践編では8つの項目それぞれについて、より具体的な調査方法など深掘りをしていきますが、いきなり全てを理解するのは非常に難易度が高いです。実務を経験しながらおぼえていくことも多いので、あまり気負いせず読んで頂ければと思います。

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監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、不動産専門 広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

※実績等:初心者向けセミナー「よくわかる役所調査」受講者アンケート結果:満足度96.3%、全国3,000社が利用した「役所調査チェックシート」企画・制作、業務効率化ツール「スマホで役所調査メモ」企画・設計・監修 など

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