1.賃借人(以下甲)は、本物件が賃貸借契約と平行して売却活動に付されていることにつき、賃貸人(以下乙)から説明を受け、これを了承した。
2.本物件の購入希望者が現れた場合、乙は甲に対して速やかに解約の申し入れを行うものとし、その予告期間は30日以上とする。
3.甲の退去日については、双方で協議しこれを決定する。協議が不成立の場合、乙は第三者機関の仲裁または裁判所の調停を求めるものとし、甲は誠実に協力するものとする。
注意事項
本特約案では、調停を求める旨を明記することで一定の柔軟性を確保し、トラブル発生時の対応余地を持たせています。また、あらかじめ口頭で「購入希望者が見つかった場合は速やかに退去していただきます」と言い添えることで、解約の申し入れに対する賃借人の理解を得やすくする工夫を行っています。
ただし、賃貸人都合による売却を理由とした立退き請求については、いかなる表現を用いても、借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)で定められた「正当事由」を満たすことはできません。この点、本案では立退きトラブル発生時に公序良俗違反と指摘されない程度の表現に留めています。
なお、立退きを拒否された場合には、正当事由を補完するために立退き費用の支払いが必要となる可能性があることにご留意ください。