道路 – 役所調査マニュアル[実践編]

1項1号(道路法による道路)

監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』 『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

監修者

宅地建物取引士
公取協認定不動産広告管理者

野村 道太郎(プロフィール)

さて、頻出3種の個別解説に戻ります。まずはみんな大好き、正義のヒーロー1項1号さんです。たぶん大げさでなく、不動産業界にとってはアイドルで、道路調査で1項1号だった時点で幸福度が増します。好きです、1項1号。

「道路法による道路」と堅苦しく書いてありましたが、ざっくりと言えば「幅員4m以上の役所が管理する公道」のことで、市道・区道・県道・都道・国道とかそういった名前がついている道路たちが該当します。1項1号は、幅員が4m以上であることが約束されていますし、調査したいことの多くが役所に聞けばわかるので楽、個人管理の私道と違って道路を理由にした揉め事のリスクはほぼない、もし何かあって維持修繕が必要になっても基本は役所頼みでOKと最高の道路です。

道路種別の資料では緑系の色なことが多いように思いますが、役所によっては水色なども見たことがあるので一概には言えません。調査先の役所の凡例を都度確認するようにしてください。

1項1号だった場合の注意点としては、役所が管理しているおかげで、様々な情報・資料が役所で手に入るため調査項目が増えます。下記項目の追加調査が必要になるので調査漏れに気をつけましょう。

1項1号の追加調査項目

  • 道路番号(例 区道◯号線 等)
  • 幅員(例 認定幅員◯m・現況幅員◯m)
  • 境界確定は済んでいるか?

追加調査については恐らく、道路種別の確認先とは違う窓口で「道路管理課」や「土木課」といった物理的に道路の維持管理をしている部署になる可能性が高いです。建築指導課で道路種別を確認したのであれば、そのまま窓口の担当者に「道路番号とか幅員ってどこで確認できますか?」と聞いてしまうのが一番早いですが、窓口の周りをキョロキョロ見渡すと「幅員は道路課」といった張り紙が掲示されていることも多かったりします。何にせよ確認先の窓口が違うはずという前提で行動できるとスムーズです。

また、道路の名前から読み取れますが、市道なら市役所、区道なら区役所、県道であれば県庁など、管理している役所ごとでも調査先の窓口は変わります。市区町村の役所で調査しているときに、県道や都道・国道が出てきてしまった場合には、別の調査先に出向く必要が出てきますが、担当者さんに八つ当たりせずに潔く向かうようにしてください。

ちなみに、1項1号の道路番号幅員は、ほとんどの場合で同じ図面資料に記載されていて、窓口で写しを取得できるはずなので、深く考えずとりあえず写しを取得すれば調査完了ということも多いです。その場合、調査自体はサクッと終わるのですが、混みやすい窓口なので曜日・時間帯によっては不動産業者さんたちがズラッと並んでいるかもしれません。基本的に午前よりも午後が、あと月金も混みやすいのでできれば外したいところ、火水は空いてますのでオススメですが、皆さんの定休日次第かと思います。

また、この図面の名称については道路種別の資料と同様に、役所によってまちまちなのであまり当てにしないようにしてください。道路台帳と呼ぶこともあれば、現況管理図現況平面図など様々です。

参考画像:港区道路台帳平面図より抜粋

さて、単に幅員といっても2種類あることが多いので、補足しておきます。

  • 認定幅員:役所の帳簿上の数字
  • 現況幅員:現地を測量した結果

役所によっては「認定幅員はなくすべて現況幅員で管理しています」といったこともありますが、調査先ではどういった管理をしているのかも含め確認をするようにしましょう。ちなみに、認定幅員と現況幅員に差があれば、その理由注意点を担当者に確認する必要があります。現況幅員が認定幅員よりも狭かった場合、認定幅員を確保するために「足りない分は敷地を後退させてください」という指示を受けるようなこともあるためです。また、役所での調査後に現地をメジャーで測ってみたら認定幅員と差があった場合も、役所にどうすべきか確認したほうがよいので気をつけましょう。

1項1号、最後の確認事項は「境界確定は済んでいるか?」についてです。

ここでいう境界確定とは「道路(官有地)と調査地(民有地)の境界線について、両者が協議のうえ合意していること」をいい、正式な手続きが完了していると「境界確定図」という資料が取得できるはずです。道路番号・幅員が記載された図面を取得した窓口でまとめて確認できるはずなので、図面をもらいながら「ここって境界確定してますかね?」と聞いてみてください。

境界確定については手続きがかなり大変なので、未了のままの土地は多く「境界確定図があったらもらう」くらいの感覚で問題ないと思います。また「境界確定してはいるが一部だけ」ということもよくあります。様々なパターンがありえますが、窓口の担当者が親切に教えてくれるので、理解できるまで説明を聞くようにするだけで問題ありません。

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監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、不動産専門 広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

※実績等:初心者向けセミナー「よくわかる役所調査」受講者アンケート結果:満足度96.3%、全国3,000社が利用した「役所調査チェックシート」企画・制作、業務効率化ツール「スマホで役所調査メモ」企画・設計・監修 など

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