建築基準法 – 役所調査マニュアル[実践編]

敷地面積の最低限度(最低敷地)

監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』 『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

監修者

宅地建物取引士
公取協認定不動産広告管理者

野村 道太郎(プロフィール)

ここまでの制限に比べ、非常にシンプルです。最低敷地は面積「◯㎡」で表記され「土地をこの数字よりも小さくしてはいけない」という決まりです。200㎡を上限として、それよりも小さな数字で定められます。

参考画像:世田谷区「用途地域の都市計画変更について P13より抜粋」

制限を設ける目的は建蔽率や斜線制限等に近いもので「防災」や「住み心地の確保」を目的として、建物同士が近づき過ぎないようにしたいという意図があります。

参考画像:世田谷区「用途地域の都市計画変更について P13より抜粋」

少し話が飛んでしまいますが、大きな土地があった場合はそのまま売るより分割したほうが儲かります。土地は大きくなると面積あたりの単価が下がっていきますので、200㎡を一人に売るよりも、真っ二つにして100㎡を2人に売ったほうが高く売れるのです。そして、多くの不動産屋さんは貪欲ですから、割れる土地は割ります。こういった貪欲な商売魂に歯止めをかけるための制度という側面もあるようです。

というのも、土地を細切れにしてしていくと狭い範囲に建物が密集してしまい、通風・防災上も悪影響がありますし、街並みも荒れます。高級住宅街というとゆったりとした敷地にドーンと大きな邸宅が立ち並んでいるイメージがないでしょうか。実はああいった高級住宅地には最低敷地が広めに設定されており、ゆったりとした街並みを意図的に保全しているケースが多くあります。また、容積率の説明でも少し触れましたが、インフラの整備はおおよその人口を予測してキャパオーバーしないような計画を立てていきます。細切れの土地が増えると面積あたりの世帯数が増えていきますので、こういった面でも必要な措置と言えるでしょう。

ちなみに、より不動産屋さんらしい視点をお伝えしておくと、調査したい物件が最低敷地も踏まえ「何分割できるか」というのは非常に重要です。きれいな形で複数に割れる土地は利幅が大きく優良物件だからです。

そういった点でいうと、例えば冒頭に記載した図のように最低敷地70㎡の地域だった場合には、140㎡の土地と139.9㎡の土地では価値が全く異なります。前者は2分割できる可能性がありますが、後者は分割できません。ゆとりある敷地のほうが需要が見込める地域であればそのままでもいいかもしれませんが、通常は割れるだけ割りたいのが不動産屋さんです。

老婆心ながら最低敷地は査定価格に大きく影響しますので担当されるエリアに定められている場合は規制値を覚えておいたほうが良いでしょう。先程の例に当てはめると、最低敷地70㎡のエリアで150㎡の土地の売却相談があれば「分割も視野にはいるから査定金額は伸ばせそうだ!」であるとか、135㎡の土地だった場合には「ぐぬぬ・・・割れないから135㎡のまま売るしかないぞ・・・このあたりの平均世帯年収からすると少し金額が高くなりすぎる。買い手を探すのは苦労しそうだ」といった目算が立つようになるのです。

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監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、不動産専門 広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

※実績等:初心者向けセミナー「よくわかる役所調査」受講者アンケート結果:満足度96.3%、全国3,000社が利用した「役所調査チェックシート」企画・制作、業務効率化ツール「スマホで役所調査メモ」企画・設計・監修 など

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