建築基準法 – 役所調査マニュアル[実践編]

「壁面線」と「外壁後退」

監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』 『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

監修者

宅地建物取引士
公取協認定不動産広告管理者

野村 道太郎(プロフィール)

いずれも「敷地の境界線から建物をどのくらい離すか」という制限で、名称も若干似ているせいで混乱しやすいのでまとめて紹介します。

まず壁面線ですが、イメージとしては大きなビルが整然と並ぶオフィス街などがわかりやすいですね。壁面線は「道路境界線から◯mの範囲は建物を建築しないでください」といったルールを指定するものです。地区計画や高度利用地区などで、通りに沿ってズバッと線が引かれるケースが多く、通り沿いの建物の面(ツラ)を揃えることで、きれいな街並みにできるわけです。こうした使われ方からもわかるように、敷地単位で建築を制限する意図ではない制度と言えます。

丸の内仲通り、写真の奥までビルの面が一直線に揃っている

役所での調査時には「壁面線について調べる」というよりも、地区計画や高度利用地区のように地域一帯に対して建築制限をかけるようなローカルルールがないかを調べ、ついでに「ローカルルールの中に壁面線の制限が含まれていないか」を確認するような流れになるでしょう。

対して外壁後退は、根本の考え方が「絶対高さ」や「北側斜線制限」と同じで、低層住居系の用途地域(1低層・2低層・田園)に定められるもので、用途地域がわかった時点で制限の有無も確認できてしまうタイプの制限です。住宅街の環境を良好にするため「建物はすべての敷地境界線から1mまたは1.5m離さなければならない」という規定になっています。壁面線はあくまで道路からの後退距離を規定していましたが、外壁後退については隣地境界線からの後退距離も定める点は2つの制度の大きな違いと言えるでしょう。

ちなみに、後退距離は「1m」か「1.5m」のいずれかになりますが、どちらが適用されるのかは地域によってまちまちで「道路からは1.5m、隣地からは1m」といった地域もあります。役所での調査時には「じゃあ何mの後退がいるのか」を確認することになりますが、世の中に出回っている多くの重説ひな形は「有無」の記載のみでよく、後退距離の記載までは必須ではありません。買主様の事情にはよるものの詳細の調査は省略できる場合が多かったりします。

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監修者

宅地建物取引士・公取協認定不動産広告管理者
野村 道太郎

大手不動産会社、不動産専門 広告代理店を経て現在は『不動産会社のミカタ』『役所調査のミカタ』の編集長を兼務。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。

※実績等:初心者向けセミナー「よくわかる役所調査」受講者アンケート結果:満足度96.3%、全国3,000社が利用した「役所調査チェックシート」企画・制作、業務効率化ツール「スマホで役所調査メモ」企画・設計・監修 など

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