風致地区・地区計画区域・駐車場整備地区 等
監修者
宅地建物取引士
荒川 竜介
新卒から合計4年半不動産仲介の現場に従事。 その後、マンションリサーチ社の執行役員を経て、2018年12月にミカタ株式会社 代表に就任。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。
監修者
宅地建物取引士
荒川 竜介(プロフィール)
ここまでに説明したもの以外にも様々な地域・地区・街区が存在しています。高度地区のように高さに関するものもまだ複数ありますし、農地・史跡・自然公園など既存の環境を保全するためや、駐車場など地域に必要と思われる施設を確保するためなど、その目的は様々です。ここでもまずは一般的なものを一気にご紹介し、次に都市部で比較的見る機会のある3種について補足します。
- 高度利用地区
- 特定街区
- 景観地区
- 風致地区
- 災害危険区域
- 地区計画区域
- 特例容積率適用地区
- 特定用途制限地域
- 高層住居誘導地区
- 駐車場整備地区
- 都市再生特別地区
- 特定防災街区整備地区
- 建築協定区域
- 臨港地区
- 緑化地域
- 生産緑地地区
- 特定用途誘導地区 など
風致地区
風致地区の説明をするために、一旦は国土交通省の文書を引用します。
風致地区は、都市における風致を維持するために定められる都市計画法第8条第1項第7号に規定する地域地区です。
※国土交通省『風致地区制度』https://www.mlit.go.jp/toshi/park/toshi_parkgreen_tk_000072.html , 2023/3/31参照
「都市の風致」とは、都市において水や緑などの自然的な要素に富んだ土地における良好な自然的景観であり、風致地区は、良好な自然的景観を形成している区域のうち、土地利用計画上、都市環境の保全を図るため風致の維持が必要な区域について定めるものです。
ざっくりといえば有名な公園の周辺地などで、自然豊かな雰囲気を守るために指定されるものです。具体的な制限をみても、木の伐採や土石の採取をするにも許可が必要といった条項がありますので、環境の良さを維持したい意図を感じることができます。
風致地区に該当していた場合、周辺環境へ配慮をしながら建築計画を進める必要が出てきます。実際にどういった制限を受けるのかについては、窓口で説明を受けつつ案内資料やリーフレットがあれば取得すると良いでしょう。
地区計画区域
地区計画は、まちづくりを単位とする「都市計画」と、敷地内の建物を単位とする「建築計画」の間の規模感、ある程度の広さがある地域一帯に対してルールを定める制度です。国土交通省のイメージ画像がわかりやすいので引用します。
都市計画は広い範囲にざっくりとした方向性を示すものですので、細やかさに欠けています。対して建築計画は、建築基準法により細部まで制限できるものの敷地ごとにしか適用ができないので、地域一帯を計画的に開発するのには向きません。そこで都市計画よりも狭い範囲でより細やかな規定を設けられる地区計画が活用されるのです。
具体的には、道路や公園・遊歩道などの地区施設をどこに整備するのかや、保全すべき樹林地を定めたり、用途地域よりも細かい建築制限を定めたりしています。
地区計画には様々な種類がありますが、ここではその種類等には触れません。該当していた場合にはその地区計画の名称、どのような制限を受けるかを確認してください。地区計画も恐らく案内資料・リーフレット等がある可能性が高いので、取得できる場合には受け取っておきましょう。
駐車場整備地区
駐車場整備地区とは、建物の大きさに応じて決められた基準以上の駐車スペースを整備するように定めたもので「2,000㎡以上の場合は◯㎡ごとに1台分を確保してください」といった内容になっています。
例えば、とても人気のある商業施設の土日を思い出してください。駐車場が満車になってしまって、空き待ちの車がズラッと並んでいるのを見たことがないでしょうか。商業地などそもそもに人出の多い地域で、空き待ちの列がそこら中にできてしまうと、環境にも悪いですし、宅配業者等の物流や、バスなどの公共交通機関、最悪のケースでは緊急車両などにも悪影響が考えられます。また、駐車場に余裕があることで人が来やすくなり、さらに街が活性化するのでは、といった期待をする側面もあるようです。
しかし、最近では以前よりも車で出かける人が減少傾向にあり、すでに自家用車向けの駐車場は供給過多になっているような地域も出始めました。そうした地域では独自に条例等を設け、より実態に即す制度を模索している場合もあります。バリアフリー化の促進や、荷捌き用駐車場を点在させたり、電気自動車への対応を検討したりなど、比較的移り変わりの激しい分野なので、過去に調査したことがあっても注意が必要です。
調査時には物件が該当するのかだけではなく、その地域ではどういったルールがあるのか、調査経験があっても直近で改正がなかったかまで確認するようにしましょう。
監修者
宅地建物取引士
荒川 竜介
新卒から合計4年半不動産仲介の現場に従事。 その後、マンションリサーチ社の執行役員を経て、2018年12月にミカタ株式会社 代表に就任。実務者目線で「使える情報」の発信に重きをおいています。