対象不動産
■物件名
ザ・ハウス南麻布
■住居表示
港区南麻布5-2-5
■地番:3番地13
■敷地面積:7058.94㎡
■延床面積:27811.2㎡
■建築年月日:平成16年7月9日
■構造:鉄骨・鉄筋コンクリート造 陸屋根
■階数:地下1階付10階建
調査概要
今回の調査先一覧
港区役所
東京都港区芝公園1-5-25[ Googleマップ ]
都営大江戸線・浅草線 大門駅 A6出口 徒歩5分
都営三田線 御成門駅 A2出口 徒歩5分
JR山手線・京浜東北線 浜松町駅 北口 徒歩10分
都庁 第二本庁舎
東京都新宿区西新宿2-8-1 第2本庁舎[ Googleマップ ]
都営大江戸線 都庁前駅 直結(徒歩5分)
JR線他 新宿駅 西口 徒歩10分
丸ノ内線 西新宿駅 徒歩10分
所要時間
約2時間40分 ※移動時間込
大門駅→[都営大江戸線]→都庁前駅
事前準備
印刷した資料
- 住宅地図
- 全部事項 土地・建物
- 公図
- 測量図
オンラインで確認したこと
窓口で取得した資料一覧
港区役所
- 6階
- 位置指定図(開発指導課 開発指導係)
- 5階
- 道路台帳現況平面図(土木管理課 土木管理係)
- 土地境界図(土木管理課 土木管理係)
- 8階
- 指定作業場 一覧(環境課 環境指導アセスメント係)
都庁 第二本庁舎
- 3階 中央
- 台帳記載事項証明書(建築指導課)
- 建築計画概要書(建築指導課)
注意点・苦労したこと
今回の物件は北と南の2方向で接道しています。結論だけ言えばどちらも1項1号ではあったものの、南側が特殊な状況でしたので記録を残しておきたいと思います。
南側道路の種別を調べると、1項5号を示す「黄色」を「茶色」の線が囲っている状況でした。茶色が何を示すかは凡例の下部に「区道1項3号・区道1項5号 ※区道1項5号のうち区道幅員が4m以上ある範囲は1項1号かつ1項5号」と記載されています。つまり茶色で囲われた範囲にはいくつかのパターンがあり得るということのようです。整理しておきましょう。
- 区道1項3号 …(A)
- 区道1項5号
- 幅員4m未満の範囲 = 1項5号 …(B)
- 幅員4m以上の範囲 = 1項1号かつ1項5号 …(C)
今回の道路は黄色でしたから1項5号です。したがって(A)のパターンではなく「幅員が4mあるのか?」によって(B)か(C)のどちらかになりそうです。幅員がかなり重要になりそうですので次は区道の台帳を閲覧します。
道路が長く全区間を映すと幅員が見えなくなってしまいそうなので、参考画像は1項5号の南端側のみを抜粋しました。画像の範囲内に記載された幅員は全て5m以上であり、映っていない北側も全区間で同等の幅員が確保されていました。つまりこの道路は(C)のパターン「1項1号かつ1項5号」ということになります。
道路調査をしているとこの「1項1号と1項5号が併存している」というパターンをみることは少なくありません。よくあるパターンとしては「1項5号を作ったあとに市区町村に寄付されて1項1号になったが、何らかの事情があり位置指定の廃止(廃道)手続きをしていない」というものです。この場合の注意点として、位置指定が生き残ってしまっていますから、原則として建築確認時には「位置指定の復元義務」が生じます。位置指定図と現地を比較し、何か差異があれば位置指定図通りに戻さなければならないのです。位置指定図を取得したら道路台帳との比較はもちろん、現地での調査も忘れずに行いましょう。
ということで今後のためにも位置指定図の取得をしていきますが、敷地の南側、現在の位置指定道路に接道している路地状部分を指定道路図でよくみると「廃道」があることがわかります。位置指定図を取得してみると元々はこの廃道部分も含んで位置指定がされていたことがわかりますので、該当部分を廃止したときの資料も忘れずに取得しなければなりません。
ちなみに、南側道路の謄本を取得したところ個人の方が所有する民有地でした。1項1号である以上ライフライン等の引き込みを行う工事も問題ないはずですが(道路法により私権の制限を受けているので)、場合によっては引き込み工事の際に「所有者の承諾はありますか?」と聞かれることもあるようですので、こうしたケースでは関係各所への確認は事前に細かく行っておいたほうが良いでしょう。
※本物件は、北側で接している1項1号からライフラインの引き込みを行っており、建て替えをするとしても北側本管から引き込みができるので特に問題はありません。
最後に北側道路についても少し補足をしておきたいと思います。
北側には計画決定段階の都市計画道路がありますが、事業決定はまだおりていません。しかし「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」によって優先整備路線に指定されており、関連資料をみるに「平成37年度(2025)までに優先的に整備すべき」とされています。また、同じ道路の別区間では既に事業完了や事業決定済になっている箇所もありますので、近い将来整備が進む可能性は高いと思われます。
そして、当該 都市計画道路の計画線を調査したところ、本地の敷地内に越境していることがわかりましたので、整備が進む中では土地の一部が収用されたり、環境の変化がおきたりなど、事業によって影響を受ける可能性がありますので注意が必要です。